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遊興の先にあるもの~卒業に浮かれて何にも成れぬままに過ごす年月

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今週のお題「卒業」

何にも成れぬ卒業

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 本年度の終了をもって卒業される皆さん。

 ご卒業おめでとう。

 しかし、それは同時に新しいステージへ進むことでもある。

 この事実をしっかり認識していただきたい。

 でないと、浮かぶ瀬もなく、行くべき港もなく、ただただ漂流し続ける存在になる。

 

 私の話をしよう。

 小学校、中学校、高校、大学。

 卒園も合わせれば幼稚園も。

 ただ流されるままに入り、流されるままに出た。

 本当に。

 何も成すことなく。

 ただ、流されて。

 

 今も私は何一つ成せずにいる。

 何にも成れぬ存在というものはつらい。

 確固たる我というものを疑いたくなってくる。

 皆さんはどうだろう?

 自分というものをはっきり持っているだろうか?

 思想、宗教、想念、生活。

 なんでもいい。

 数多の影響を排し、我一人で考え、実行しているものがあるだろうか?

 私には、ない。

 誠に寂しい限りである。

 一個の人間として生まれ、自由の許された国で、自分から心地良い不自由の中で眠っている。

 目覚める日はわからない。来ないのかもしれない。

 

卒業という業

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 卒業に対する言葉は「入学」である。

 決して「入業」ではない。

 なぜだろう。学びとは「業」ではないのだろうか。

 人間として生まれたからこそ課せられるカルマではないのだろうか。

 学問の終わりがないというのなら、「終学」が使えないということか。

 卒するべきものを卒することなく社会に出てしまったならば、彼は次に何を始めれば良いのだろう。

 

 私は在学中も、そして出た後も、何も成していない。

 もしも青春というものがこの世にあるのなら、きっとそれこそが学生が成すべき業なのだ。

 全く接さなかった。青春などという代物には。

 もちろん私なりの稚気から発した行動はあった。

 だが、それだけだ。

 今でも私は稚気のままに生き続けている。

 つまり、卒業できていない。業から抜け出せていない。

 

 卒業式とは式典である。

「さあ、いつまでも若いままではいられない。初々しい春は終わった。これからは熱く厳しいながらも楽しき夏へ向かって突き進んでいけ」

 そんな意味合いがあるのではないかと考えてしまう。

 先述した通り、私は卒業しきれていない。

 いつまでも春が続けば良いと思っている。

 いつか待つのに飽きた冬が夏と秋とを飛び越えて迎えにくるまで。

 ずっと、春でいいと思っている。

 

遊び呆けて日が暮れて

アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストV 天空の花嫁

アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストV 天空の花嫁

 

 小学校のころはドラクエ5をよく遊んだ。

 今でこそ「ビアンカ派」「フローラ派」の争いが生まれているが、当時はそこまで論争になった記憶もない。

 ただ「子どもの髪の毛の色も変わるんだなあ」と思った程度だっただろう。

 それでもよく遊んだ。とにかくモンスターを倒した。

 その遊びがやがて惰性のものとなってもやめなかった。 

コーエー定番シリ-ズ 信長の野望 天翔記 with パワーアップキット

コーエー定番シリ-ズ 信長の野望 天翔記 with パワーアップキット

 

 小学校の終わりごろから歴史にはまり、特に三国志と信長の野望をよくやった。

 三国志だとVのころであり、信長の野望だと天翔記のころだ。

 いずれも今も名作と語り継がれている。

 今遊んでも面白いだろう。

 

提督の決断3 with パワーアップキット

提督の決断3 with パワーアップキット

 

 中学校では現代史にも手を広げ、提督の決断3をやった。 

 歴史のifを作るという行為は、今も昔も大好きだ。

 もしもこうだったなら、もしもああだったなら……。

 考えるのも好きだし、ゲームを介して組み上げるのも好きだ。

 自分の歴史がどうなっているかに目を背け、ひたすら遊ぶ。

俺の屍を越えてゆけ

俺の屍を越えてゆけ

 

 高校のころに最もハマったのは「俺の屍を越えてゆけ」。

 そのゲームシステムの奥深さがツボに入った。

 サウンドトラックが地元に売っていなかったため、わざわざ東京まで行ったほどだ。

 良い曲が揃っている。思い出深い。

 これが青春の音色なのかもしれない。そう呼べる程度には歴史に刻まれている。

 

真・三國無双4

真・三國無双4

 

 遊んで。 

ウイニングポスト6 2008

ウイニングポスト6 2008

 

  遊んで。  

龍が如く4 伝説を継ぐもの

龍が如く4 伝説を継ぐもの

 

 遊び抜いた。

 その先に、栄光など待っていないと知りながら。

 

命を積み上げろ

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 気づけば難病者となって、社会の荒野にただ一人残された。

 この世は生きるには苛烈で、ぼんやりと過ごすにはあまりにも残酷だ。

 樽のディオゲネスのようにすべてを捨てられず、ほのかな物欲にすがって生きる。

 私は何からも卒業できてはいなかった。

 卒業して中学校に入れば、高校に入れば、大学に入れば、社会に出れば……。

 問題を前へ前へとパスして、とうとう誰にも渡せなくなった時には、すさまじい重さとなって私の全身から力を奪った。

 

 これを読んでいる皆さんがいくつか、私には想像もつかない。

 ブログとしてはまさしく片隅にある場所だ。

 わざわざお読みいただいたことにはただ感謝しかない。

 そんな皆さんに告げるべきことがあるとしたら、「生きる限り積むしかない」ということだ。

 命を積む。歴史を積む。経験を積む。実績を積む。

 まるで名うてのギャンブラーがブラックジャックでやるように、魂のコインを積み上げる。

 地球の人口60億……一説には70億。

 その中で何かに成れる者など、本当に数えるくらいだろう。

 だが、せっかく生まれたからには、せっかくここまで育ったからには、何かをやりたくなるし、何かをやるべきではなかろうか。

 

 私は最近ようやく積み始めた。

 あまりにも遅い。

 だが、遅すぎるよりは良い。

 遊んでもいい。学んでもいい。働いてもいい。眠ってもいい。

 何をやるにしても、何かに成るものを「積む」。

 それが大切だ。それが重要なのだ。

 悔いは必ず襲ってくる。毎日眠る時、年を越す時、死ぬ時……。

 ああ、自分は何からも卒業できていなかったのだと、茫然とする瞬間がやってくる。

 

 そんな悔いに、私の人生を殺されてたまるか。

 業を卒しよう。

 私はそのために、積んでいく。

 限られた時間の中で、姿形も知らぬ何かに成るために。

 積んだ先には、きっと新しい明日が待っている。

 

 改めて。

 卒業される皆さん。

 ご卒業おめでとう。

 そして。

 ようこそ、「次」が待つ場所へ。