早稲田で美味しいからあげ弁当が買える店(わせだの弁当屋・いねや)
からあげは美味しい
「ショッピング」カテゴリが正しいかどうか悩んだが、グルメ関係の話題はそこまで触れないし、弁当という中食産業でもあるのでここに配置した。
突然であるが、からあげの話である。
この記事を読んだことが発端だ。
からあげセンター……美味そうじゃないか。
しかし、私自身が食べてもいないからあげの空想の味を延々と語られても、聞いた方は「ハァ?」と返すしかないだろう。ファンタジーは難しいのである。トールキンにはそうそうなれはしない。ゆえにこそ、昨今のなろう小説は共同幻想に寄り添っている。
このため本稿では、筆者が歴史を共にしたからあげ弁当のおいしいお店を紹介する。少し前の情報になるが、他のサイトを見る限り閉店していないようなので、その点はご安心いただきたい。
なお、筆者はそこまでグルメではなく、舌も肥えていない。もしかしたら好みに合わないかもしれないが、申し訳ないが個々の好みに合致するかどうかまでは保証できない。
そもそも、美食というのは人によってぷよぷよであったりツムツムであったりジグソーパズルであったりするので、合うか合わないかは食べてみるまでわからないだろう。
長々と自己弁護の口上を述べたところで、お店の紹介に入る。
わせだの弁当屋
出典:http://mogumogunews.com/2014/10/topic_8811/
わせ弁とは?
早稲田大学の自称バンカラ学生にとって、弁当屋といえばここ。通称わせ弁である。
なんといっても安い。それでいてボリュームがある。学生街の弁当屋を体現したようなお店である。
元はほっかほっか亭(分裂前)のチェーン店だったのだが、勝手にオリジナルメニューを作成しまくった結果として本部から怒られ、とうとう独立してしまったらしい。どういう武勇伝だ。
あまりにも安すぎるので、原材料について疑問が持たれている。よく売れた日は大隈講堂前の鳩が減っているという噂もある。そもそも、古いメニュー表に「唐揚げ(鶏)弁当」と書いてあるのだから、きっと鶏肉じゃないからあげもあったのだろう。
画像はナスから弁当。やたら濃くて油っぽいナスとともに食す。
他には揚げ餃子とのセットであるギョーカラ。シューマイとのセットであるシューカラがよく出ている。どれも350円の定番だからだろう。
存在感のあるからあげ
とにかく大体のメニューにからあげが絡んでくる。
というより、新メニューはちょいちょい追加されるのだが、からあげの存在感が圧倒的すぎて、あまり売れていないのではないか。味噌カツ弁当(350円)などは隠れた名メニューだと思うのだが、2016年現在も売っているかは不明。
このサイトでは2位になっているが、ドカ弁(450円)もおすすめだ。からあげだけでなく、メンチカツやらコロッケやら、油物乱舞が食べる人間を襲う。あまりのことに、福神漬が一番美味しいのではないかと思ってしまうことすらある。ダメじゃないか。
からあげは「マシ」や「マシマシ」で量を増やしてもらうことができ、これはどのメニューでも同じだ。ナスから大盛りマシマシでごはんもからあげも増える。それぞれ50円と100円のプラスで、合計500円のワンコイン。胃腸が弱いと体を壊すが、壮健なる学生諸君にとってはこの上ない力となる。
ちなみに、筆者は疾病の悪化前、ギョーカラマシマシに500mlコーラというブルーカラーのためにあるような組み合わせを好んで食していた。腹は超絶に膨れたが、血液検査で中性脂肪の数値は上昇した。当たり前である。
こんなメニューもあるよ
昨今、早稲田と慶応でわざわざ早稲田を選ぶのは「変わり者」か「慶応落ち早稲田」くらいなものではなかろうか。まあ、「東大落ち早稲田」は今でもそこそこ数がいるし、看板学部の政経なら慶応に比べて箔がつく。それ以外なら慶応の方がシャレオツではあるし、ステータスではある。
ただ、早稲田は学部ごとにキャンパスがくっきり分かれているため、慶応のように日吉と三田であたふたする必要がないメリットはある。(このせいで、文学部が戸山女子大学だとか理工学部が大久保工科大学だとか人間科学部とスポーツ科学部が所沢体育大学なんて呼ばれているわけだが)
とにもかくにも早稲田に入ったからには、屈強なるワセダニアンを目指すため、いっちょうやったるかということになるだろう。そんな夢と無謀にあふれた新入生に洗礼として待ち受けているのが、わせだの弁当屋の最安メニュー「たぬき丼」(250円)である。
たぬきと言っても、天カスや揚げ玉のようなお上品な代物ではない。そういうのが食べたいなら高田馬場駅前の富士そばへ行ってなさい。
わせ弁におけるたぬきとは「からあげの揚げカス」なのである。あのうまみが凝縮してるようで、でもやっぱり油の塊だよねっていうあれ。広義の揚げ玉だろうが、これを揚げ玉と呼んでいいのか。呼びたくない。そんな代物がご飯の上に満遍なくふりかけてある。これがたぬき丼である。どうだ、参ったか。
福神漬が休憩ポイントになるくらい、どんどんつらくなってくる。
まあ、普通に「前抜き明太」(380円)を頼んでおいた方が良いんじゃないかな。のり弁の漬物類をからあげに置き換え、さらにのりとごはんの間に明太子を敷き詰めたものだ。こっちの方が安定している。
営業時間と注文時の注意点
前までは「6:00~2:00」(つまり午前2時から6時までしか閉まっていない)とかいう、頭がおかしいのではないかと訝りたくなるような営業時間だった。
そりゃあ、24時間営業の弁当屋はある。現にわせ弁の近くにあるキッチンオリジンは24時間営業だ。だが、学生街向きの営業時間じゃない。
さすがに人員の問題もあったのか、9:30~23:50に変更になったようだ。
注文の際に注意する点?
基本的に、わせ弁には注文のために列に並ぶという高級な概念は存在していない。注文したらカウンターの脇にどいて待つ。それだけだ。
なので、人がたむろっていても、カウンター前が空いていたら注文を試みよう。
「サッセーン。ナスからマシマシ!」
こんなもんで充分である。むしろはっきり注文しないと、マシマシを受け付けてもらえないことがある。
それでも不安なら、常連のタクシーの運転手さんがそんな感じで注文していくので、後ろに並んで便乗すればいい。
そうそう。
列ができないとは言ったが、さすがに混んでいる時間帯にはできていることがある。その時はおとなしく並んでおこう。列ができる機運になったらちゃんと従うあたり、日本という風土を感じる。
なお、わせ弁は大体誰かが注文しに来ていて、混んでいない時間帯は早朝か深夜くらいなものだ。場合によっては深夜にも人がそこそこいる。大隈講堂前や戸山公園やらで飲みながら食べることもあるという。
強いて言うなら、各講義の時限の休み時間には買いに来る学生も多いので、講義中を狙うくらいだろうか。
いねや(デリカコーナー)
出典:http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13099581/
上質のからあげ
わせ弁があまりにも個性的なので、他の弁当屋は影が薄いと言われることもある。
しかし、こと弁当の質でいえば、私はこのいねやが最高ではないかと思っている。
このいねや、早稲田の講義や街の情報が載っているマイルストーンなどでは「女性向け」とされていることが多い。
あっさりとした味付け。小さくてかわいいスタイルのお弁当。多めの野菜もヘルシーなのだ。
だが、「からあげ弁当」に関しては味も量も保証できる。このからあげ弁当に大盛りを追加することで、弁当の蓋が閉まらないハイパーコストパフォーマンスを実現するのだ。
筆者としては、これにわかめスープを追加するのがイケると思っている。また、お好きな方にはマヨネーズも追加するといいだろう。小さめのキューピーマヨネーズをもらえる。
ハラール弁当屋さんとしての一面
ハラールとはムスリムに配慮した食事のことだ。イスラム教の禁忌に触れることなく、自由に食事を楽しむことができる。
この記事にもある通り、いねやにはハラールが多数そろえてある。本稿をお読みになっている方でムスリムの方がいらっしゃったら、ぜひ一度訪れてほしい。
からあげ弁当以外にも、「こまち」や「あじさい」は女性にも人気だし、紅鮭弁当は年配の方が買っていくこともある。
こうした風土の中にあるのと、至近の11号館に国際教養学部が入っている関係から、外国人留学生がよく買いに来ている。外国人からの人気はわせ弁以上ではなかろうか。時間帯によっては英語やインドネシア語や中国語や韓国語が飛び交っていて、気分は一気にグローバルだ。
もし貴方が早稲田の学生だったならば、食事の際にはいねやを紹介するのがベストの選択肢だと考えている。食べる場所さえ確保できればではあるが……。
一応、店内に4席ほどイートインスペースがある。
混んでなければ活用できるだろうが、基本的には大隈庭園や戸山公園や学生会館、その他の場所に行って食べることになるだろう。
(学生なら素直に11号館の学生ラウンジが良いかもしれない)
営業時間と空いている時間帯
平日は11:00~19:00。土曜は11:00~14:00。日曜祝日は休み。大学の長期休業期間にも連動して長休みを取ることがある。
また、お客さんの入りによっては閉店の時間帯は前後する。余裕を持って買いに行った方が良いだろう。加えて、本店の方で宴会の予約が入っている日は、繁忙の時間帯が過ぎたら閉まってしまうこともある。
繁忙時間帯は12:00~13:00。大学の昼休みだ。店の外まで待機客であふれる。この時間帯ばかりはわせ弁のように能動的に注文しなければならないが、何しろご夫婦二人しかいないので、「注文ちょっと待っててね」と言われることも多い。カウンターに来ている時に言うのが吉だが、忙しいというなら素直に指示に従おう。
昼休みを外せば、余裕を持って注文することができる。店内の椅子に座って、ゆったり待つことができるだろう。教職員からの信頼も厚く、そこそこ大型注文をしている姿を見かけることもある。
もしかすると、大学周辺では高田牧舎の次くらいに偉いさんに遭遇するスポットかもしれない。