同人誌を多く頒布したいなら種類を多くしすぎてはいけない?
8ヶ月遅れで「ほう」となった記事
1月にこんな記事があったのか!
と、鮮烈なタイトルに惹かれて読んでみたこちらの記事。
だって気になるじゃないですか……。
「自分がその『能力の低い人』だったらどうしよう?」
という考えがさっとよぎってしまうのは避けられないことです。
人は「自分がいかに気の利かない人間か」を知ることができない
ユーモア理解度の順位の低い人ほど自己評価の高い傾向がある
ははあ、もしかしたら、自分は本当にそうかもしれないぞ……。
そう思ってしまいました。自分の値打ちを正しく算定できていないことほど恐ろしいこともない!
いずれにしても、ここで見逃せないポイントは、脳が無意識のうちに判断をミスしてしまう
たとえ脳の働きによってそういう誤解、誤認が生まれているのだとしても、我が身を振り返ることを思ってしまいます。
しかし……。
そうした心の動きを学ばせてもらった意味以上に大きな収穫だと感じる部分がありました。
それがこの脳の動き、「認知バイアス」の例として出された3ページと4ページの記述でした。見出しはこれ。
どうすれば収入を増やせるか
「おとり効果」って何ですのん?
そりゃあ詳しくは記事を読めばわかることなので、せめて私らしい比喩を並べたいと思います。
「らしい」とは何か?
そう、同人誌。
例えば、本を2冊作ったとします。まあ、片方はA5の24ページとかにします?
漫画はもちろん、ギリギリ小説でもありえる数字ですね。
じゃあ、もう片方はA5の36ページにしましょうか。
同じ作者、同じイラストレーター、同じだけの宣伝があると考えた時、あと悩むのは値段設定になるでしょう。
この時、24ページを300円、36ページを500円とするとどうなるか?
どっちも買う可能性も充分考えられるし、分厚い方が好きな人は後者を買いもするでしょう。
ただ、やっぱりお試しで24ページを買う人が多いパターンが多く考えられます。
そんな状況で36ページ500円の売上を増やし、増収増益を図るにはどうすれば良いかというお話。
賢明な皆様はすでにお気づきかもしれませんが、そうです、さらに上の値段の選択肢を与えてやればいいわけですね。
なので、この場合は48ページ800円などの「最高値商品」を作ってやれば、頒布には貢献してくれるのではないでしょうか。
相対的に値段が下の本2冊がともにお得に見えますからね。(24ページ300円と48ページ800円が割合的に連動していないのも大きい!)
ただし「選択肢過多効果」もあるので要注意
では、選択肢を多くし続ければ、おとり効果でどんどんお得に見せかけることができるのでは?
という問いかけには「否」がちゃんと提示されています。
博士らは、ジャムの試食販売ブースで、6種のジャムを売る場合と、全24種を売る場合を比較しました。
立ち止まる人は24種のブースのほうが多かったのですが、実際に商品を買ってもらえる率は反対に6種のジャム売り場のほうが高くなりました。結果として、6種陳列のブースのほうが、7倍もの売り上げをあげたのです。
なんと!
そう、売上には7倍もの差が出るというのです。
種類が多い方が立ち止まりはするんですね。
だけど、実際に売れるのは種類が少ない方という……。
これは脳が処理できる種類数には限りがあり、それを超えると購買意欲に低下に繋がっているために起きる現象です。まさしく「選択肢が」「過多のため」、「興味を引く」の次の「購買する」に繋げられないわけですねえ。
同人誌即売会では本の他にもグッズなどが多く展示されています。
気合の入ったサークルさんなんかは、缶バッジにアクセサリーにコップにその他にと何十種類も持ち込んでいることも。
この場合、もしかしたら頒布面では悪影響が出ているのかもしれません。
しかしながら!
今回あえて同人誌にサンプルを指定したのは、「数多く頒布することだけが目的とは限らない」面ですね。
同じ場所で同じ時間を同じ趣味嗜好を持った人たちと共有する……。
そのために必要なのは実際にお金を出してもらうことではなく、より多く足を止めてもらうことかもしれません。
こう考えた場合、とにかく種類を増やして圧倒的な密度で立ち止まってもらうことこそ、最大の眼目となるでしょう。
かように楽しみ方に答えなしとはいえ、脳科学的にはそれらの楽しみをいずれの方向にも強めてくれる法則があることは確か。
今後の活動に、またこれから活動を始めてみようと思う方にとって、何がしかの参考となれば幸いです。