【閲覧注意】シリアという名の地獄~アレッポ情勢は複雑怪奇
シリア・アラブ共和国の戦争
2016リオオリンピックが開催されている今も、戦争は続いています。
そもそも、いつ、どうして戦争が起きたのか?
Wikiのこの記事に詳しいところですが、かの地域で起きていることは「現代の戦争」の極限であると感じます。
現代の戦術が次々に編み出され、殺し合いを続けているのです。
「戦争が科学技術を発展させた」時代を過ぎ、「より効率的かつ非核兵器戦術でもって敵兵を討つ」時代がやってきたのだと……。
アレッポには10以上の勢力が展開している
東京外語大の青山教授のレポートから引用させていただきます。
アレッポ県は現下のシリアでの紛争における最大の係争地である。そこでは、シリア軍、YPG(民主統一党(PYD)が主導する西クルディスタン移行期民政局の武装組織)、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動やイスラーム軍などのイスラーム過激派、「穏健な反体制派」と目される武装集団、ロシア軍、イラン軍、イラン人、イラク人などの民兵、レバノンのヒズブッラー、米軍主導の有志連合、そしてトルコ軍が入り乱れて、激しい戦闘を続けている。
はい、何個の勢力が出てきたでしょう?
4.アル=ヌスラ戦線
6.穏健な反体制派
7.ロシア軍
8.イラン軍
9.イラン人民兵
10.イラク人民兵
11.米軍主導の有志連合
12.トルコ軍
まさに混沌ですが、このアレッポ県に200万人弱の人々が暮らしているのです。
地政学的に重要な位置にあるアレッポ。歴史上で数多の戦争の舞台となってきました。
かの最強を誇るモンゴル帝国軍をマムルーク朝が打ち破ったのも、シリアからパレスチナにかけての戦域でした。とりわけ、アイン・ジャールートの戦いはよく知られています。
悲劇は起きた、今も起きている
ゾンビ映画などの演出ではありません。
5歳のシリア人の子どもが戦闘に巻き込まれ、流血した姿です。
彼は赤新月社の救急車に運び込まれて命は助かったとの報道です。
#Khartoon - Choices #OmranDaqneesh 5 pulled from under the ruins, #AylanKurdi 3 drowned in the Mediterranean #Syria pic.twitter.com/Y4XQgfKgHt
— ALBAIH (@khalidalbaih) 2016年8月18日
さらに、SNSを通じて全世界で話題になっている画像はこちら。
故郷に留まって死にかけた少年と、故郷を離れて溺死した少年。
シリア人たちが置かれた絶望的な状況を端的に表しています。
報道の力は戦争を止めることができるか
「戦争の恐怖」と題された、ピューリッツァー賞受賞の有名な戦場写真があります。
ベトナム戦争の終盤。ナパーム弾で焼き払われた村から全裸で逃げてくる光景。
現在までケロイドとなって残る傷跡とは裏腹に、彼女は今も生きて、優しい笑みを浮かべています。
そして、今や世界は写真のみにあらず、動画までもが拡散される時代になりました。
アレッポでは子どもたちまでもが立ち上がり、戦争に加わっています。
今まさに死につつある町で、実際に国境なき医師団の成員も含めた多くの死者を出しながら、それでも懸命に生きようとしています。
最大200万もの人々のライフラインが喪失し、病院さえも空爆対象になっている中、彼らの未来がどこにあるのか。
戦争はゲームの中だけで充分です。勇者は物語の中に埋もれているべきなのです。
今度こそ、停戦合意が続くことを願うばかりです。