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ピクシブ文芸はなろう・カクヨムの次元に達することができるか

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pixivが本格参戦と見ていいのだろうか

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 pixivが幻冬舎と組んで、小説投稿サイトを始めるそうだ。

 ここではアルファベットを廃し、「ピクシブ文芸」という名前になるらしい。

 

 pixivにはもともと小説投稿が備わっていた。

 が、インターフェースが使いにくかったり、文字を読みにくかったり、そもそもpixivといえば絵の交流サイトというイメージが強く、そこまで力を持っているわけではないのではなかろうか。

 今回のものを契機として久々に公式に飛んでみたら、「pixivノベル」というサービスもやっていた。

 えっ、何これは……。

 

 説明文によれば、「たくさんの小説の無料試し読みや連載小説を楽しめるサービスです。話題の作品を無料でお読みいただけます。新着タイトルも続々公開中です」とのこと。

 ほーん。

 

 知る人は知っているのだろうが、私のアンテナの高さなんぞこんなもんである。

 こちらは世に出回っている商業小説が主体のサイトのようだから、今回始まるピクシブ文芸とシェアを食い合うことはないだろう。たぶん。

 

「小説家になろう」と「カクヨム」に挑め

 小説投稿サイトの有名どころといえば、「小説家になろう」と「カクヨム」である。

 カクヨムに関しては、ここが曲がりしている「はてな」とKADOKAWAがタッグを組んで運営されているものだ。

 投稿サイトとしては後発であるが、そこはさすがにKADOKAWAである。一定の成果を挙げていると言っていいだろう。

 

 だが、やはり小説家になろう(通称:なろう)は強い。

「なろう系小説」などと呼ばれる……または揶揄されるような小説を粗製乱造しているという謗りにもめげず、多くの投稿者をプロデビューさせている。

 実は私もこっそり書いていたが、ウェブ小説の文法とアナログの文法とは違うということを思い知らされた。

 単に面白くないって?

 それは読んだ人の感想に委ねようじゃないか。

 

 ウェブ小説は激しいパイの取り合いになっている。

 その潮流が始まったのはソードアート・オンラインがうんたらとかまおゆうがかんたらと語れようが、私はそんなに詳しくないので説明を放棄する。

 知らないものは知らないのだ。袖を振っても知恵がころんと出てくるわけではない。

 

綺麗な文章より面白い物語?

 ピクシブ文芸はこうした中に飛び込むわけだが……。

 果たしてどこまで食い込めるのだろう?

 

 先述のなろう小説が猛威を振るっている理由のひとつが、とにかくエンタテインメントに徹している点が挙げられる。

 面白いという感情、楽しいという熱情は、日本語技術における未熟を容易に打破する。そもそもが、読者が綺麗で読みやすい日本語の文章を求めているわけではない。読んでスカッとするストーリーとキャラクターを求めているのだ。

 

 日本国の未来はあまり良い表現で語られない。

this.kiji.is

 この記事にもある通り、総人口はとうとう減少の時代に入った。

 今後ますます老人は増え、若者は減り、世代が降るにつれて負担ばかりが漸増していくだろう。ファッキンカンパニーだぜチキショウ、と言われても返す言葉もないというものだ。

 年齢分布も逆ピラミッドに近づいていって、国家としていびつな運営を迫られることになる。そのうち移民を入れるかもしれないが、島国の精神を貫いてきた我々に、それを選択し、受容するだけの余裕はあるのだろうか?

 

 そして、ピクシブ文芸においても同じである。なろうやカクヨム、その他taskeyノベラボスキマノベルといった中小の投稿サイト、加えてエブリスタ魔法のiらんどといった独自色の強い勢力に比べて、「ここぞ」という魅力アピールしなければならない。

 どこまで生き残れるだろうか、この戦国時代で?

 

先行者利益があるかもよ

 煽り立てるように書いてはいるが、私は面白いと思っている。なので明日のオープン初日に、これまで書いてきたものをアップしてみようと思う。

 何を隠そうというか隠してもいないが、私は小説新人賞における1次落ちの常連である。数を量産していた2002年から2008年までのデータは残っていないが、2009年以降ならいくつかを除いてデータが残っているので、これらをアップしようと考えている。

 

「ははあ、こういうダメな点があると落ちるのだな」

 

 きっと、こういう気付きが得られるだろう。

 他にも積極的に新作を書いていきたい。

 最近は東方projectの二次創作ばかり書いていたが、そろそろオリジナルでも前に進む時だ。何を書けば商業小説たりえるのか。ここのところを戦略的かつ感覚的(つまり行き当たりばったりで)に進めていきたい。サンキュー、フォーク准将。

 

 そうでなくても、なろうやカクヨムに実弾がある投稿者ならば、マルチ投稿するというのも可能だろう。ピクシブ文芸におけるレギュレーションがどうなるかだが、大体のサイトでは一定の条件下で同じ作品を投稿することが認められている。

 ピクシブ文芸でも幻冬舎と組んだ小説賞が催されるようなので、私のように「とりあえず応募してみる」層が多いのではなかろうか。玉石混交の石ばかりが増えて、中の人には申し訳ない話だが、可能性の原石を探してほしい。磨けば玉になるかもしれないのだ。

 例えば、私のような玉もいる。これぞ「隗より始めよ」だ。郭隗はこんなに自己主張が激しかったとは思えないが、その点はシカトする。

 

ピクシブ文芸はどんな作品を求めているのか

 投稿ならびに応募するにあたって、最大の眼目となるのはこの点だろう。

 果たして、彼らは何を求めているのか?

 なろうやカクヨムのように、異世界ファンタジーに席巻されても良いのだろうか?

 

 だが、彼らは「文芸」の名前を冠してきた。

 もしかすると、一般小説の拾い上げを念頭に置いているのかもしれない。ライトノベルも含めた広範なエンタテインメントを求める。そういう意志が垣間見える。

 要項から読み取れるのは……。

 

・オリジナルであること

・8万字~20万字であること

・プロアマは問わない

 

 という点がフォーカスされている。

 主催は幻冬舎、ピクシブ、そしてテレビ朝日。

 テレ朝?

 そう、大賞作品は映像化されるのだ。

 

 こう考えると、映像化しやすいジャンルが有利なのかもしれない。つまり、彼らは「君の名は。」を求めていたんだよ!

 なんだってーというツッコミを自分でやるのは虚しいので、流していく。

 

 実のところ、幻冬舎とpixivがタッグを組むのはこれが初めてではない。

www.pixiv.net

 2年前にはこの通り、「ミステリー、青春、学園のジャンルに該当する続きが気になりすぎる第1話」というテーマで新人を募集していた。

 今回のピクシブ文芸大賞もその流れなのではないかと推測できる。この3つのジャンルなら映像化しやすいし。

 

ピクシブ文芸のオープンは2016年10月27日(木)

 何はともあれ、明日10月27日(木)にはピクシブ文芸がオープンする。

 使いやすさや読みやすさも含めて、じっくり確認してみたい。

 投稿はpixiv本体を使うことから、pixivへの会員登録が必要になりそうだ。投稿を検討している方々にはご注意願いたい。

 

 オープンのプレスリリース自体は2週間ほど前に出ていた。

 が、当サイトは速報性をかなぐり捨てているので、こうしてのんべんだらりとしている間に前日になったわけだ。時間ってのは過ぎるもんだね。

 

 公式の告知ページを見ていて今更気づいたのだが、「ピクシブ文芸サイトに投稿する」にチェックを入れて投稿するというプロセスを踏むからには、これまでとは違う表示のされ方をするのだろう。

 つまりは、小説が読みやすいような手立てが講じられている……というわけだ。

 これはもしかしたらバッドニュースかもしれない。pixivにおける小説はあくまで絵の従物に過ぎないとも受け止められるのだから。

 しかし、pixivにおいては絵のメニューと小説のメニューが分かれている。

 これまたもしかしたら、彼らはようやくやりたい形にたどり着きつつあるのかもしれない。

 

 じゃあ、ピクシブさんちの野望に手を貸してやろうじゃないか?

 こういう気持ちで、1次も通過しなかったような小説と、そこそこ評価された小説を放り投げていくのである。

「ここは姥捨て山じゃねーぞ!」という悲鳴が聞こえそうだ。

 だが、どんな創作も開けてみなければわからない。1次落ちした小説が誰かの心に刺さる傑作かもしれないじゃないか。

 このように内省と自己弁護と開き直りの駄サイクルは永遠に続いていく。

 賢明なる読者の皆様においては、私のような暗黒スパイラルに陥らぬよう心より忠言申し上げる次第である。