秀岳館高校の「美談」が炎上を呼んでいる理由は明白だった
秀岳館の「美談」とは?
2016年8月16日にアップされたこちらの記事。
吹奏楽部が自分たちのコンテストを断念し、野球部の応援のために甲子園に駆けつけたという内容です。
なぜなら、記事にもある通り、ブラスバンドは野球の応援にとって大切な存在だから。アルプススタンドが一体となって応援するためには優れた演奏が欠かせない、というわけですが……。
各SNSで炎上!
え?これって美談なの?酷い話なんじゃないの?吹奏楽部なんだから吹奏楽のコンテストでたかったんじゃないの?
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2016年8月17日
熊本・秀岳館の吹奏楽部「野球部と日本一に」 コンテスト断念し甲子園へ(西日本新聞) https://t.co/eeF6BCym7e
https://t.co/jPFf0Qg85Z
— 中村甄ノ丞あるある早くいいたい (@ms06r1a) 2016年8月17日
抑もコンテストじゃなくてコンクールじゃね?っていうのがひとつと、
学校側が吹奏楽は野球より下って明言したようなもんで、ヒデぇ話だと思うんだが。
そもそも最初の記事で「多くの教員が『コンテストに出るべきだ』と主張した。吹奏楽部の3年生6人も話し合いを重ねた。『コンテストに出たい』と涙を流す部員もいた」と書いてるんですよね。
しかし、現実には甲子園に来る道を選んだ。
これは相当な圧力が掛かったと言われても仕方がないでしょう。
加えて、秀岳館には嫌われてしまう要素があったのです。
鍛冶舎巧監督の悪評&大阪第2代表の謗り&サイン盗み疑惑
パナソニックの大戦犯と限りなく黒に近いサイン盗み
「サイン盗み」で検索してみてください。
2016年春のセンバツでの疑惑がモリモリ出てきます。
これだけでもヘイトを集めるのは仕方ないのですが……。
出てくる出てくる悪評の数々。
秀岳館は最初から嫌われ者だったか?
いいえ、全くそんなことはありません。
15年前に秀岳館が出場した時、それはもう県内総出での応援が行われました。
秀岳館高校はwikipediaにもある通り、熊本県八代市の高校です。
熊本県で強いのは熊本工や九州学院といった熊本市内の高校ばかり。
県人が言うところの「やっちろ」からの出場とあって、特に地元の八代では大応援団が編成されました。
八代第一から校名変更した同じ年というのも、大きなドラマでしたね。
その夏の甲子園では、今年も出場している常総学院に勝利するという大金星。次の3回戦で同じく今年も出場の横浜に敗れはしましたが、実に良い野球を見せてくれました。
やがて2014年から鍛冶舎監督が就任。九州大会で優勝、秋の九州王者になるなど、華々しい実績を挙げました。
外人部隊は嫌われる宿命なのか?
鍛冶舎監督がかつて在籍していた少年野球チーム、枚方ボーイズ(旧・オール枚方)。
少年野球では強豪であるこのチームから、多くの選手が秀岳館高校に進学し、現在の野球部を支えています。
このことから、「私立特有の外人部隊」「金に物を言わせた補強」「大阪第2代表」などと揶揄されている現状。
枚方ボーイズ以外にも県外者がぞくぞくと集まり……なんとベンチ入りメンバーに熊本出身者は0名!
いったいどこの代表だ、と言われるのも仕方のない流れでしょう。
引用:http://carolinabridal.biz/1362.html
ただ、個人的には、他県出身者だからといって県民と認めないような姿勢は取りたくありません。
わざわざ郷里を離れて入学したところで、甲子園に出られる保証など何もないわけですから。むしろ、それだけの魅力を遠い熊本の高校に感じてくれて、ありがたいくらいです。
炎上するのは必然だった
こういった事情に加えて、昭和的な価値観の「美談」が投下された形になります。
あえて、「昭和的」と言わせていただきます。誰かの犠牲をもって美しいとする姿は、あまりにも前時代的な考え方すぎる。
野球部の子の人生も一度きりなら、吹奏楽部の子の人生も一度きり……。
覆水盆に返らず、時は過去へと巻き戻せません。
また、外野が何を言おうと虚しいのも理解しています。
せめて、多くの部員たちがこの現実を善きものとし、未来へ歩んでいってほしいものです。
他方、こうした問題は今後しっかり議論されるべきです。悪しき習慣は「美しさ」などで覆い隠してしまってはいけません。
2016年4月の熊本地震で、熊本や大分は大きな打撃を受けました。観光業を中心とした地域経済の低迷は続き、復興への道のりもまだまだ途上です。そして、地震は熊本の高校に通う彼らをも襲ったのです。その事実を忘れてはいけません。
そうした彼らの青春が今回のような事案で踏みにじられたことは、まったく残念なことです。